第1章 1
「お・・・・・・「終わった~!!!」」
大きく声を張り上げて、yasuとyouが叫んだ。
PVも撮り終えて、遂にシングルが完成した訳や。
「よっしゃ!これから打ち上げや!!」
「酒が飲める~!」
「中華・・・焼肉・・・和食・・・洋食・・・」
「食いもんばっかやな、kiyo・・・」
スタジオ内のほぼ全員が、テンション高く笑っている。
ま、大きな仕事が一つ区切られたんやからな、当然か。
「今日は恵梨もいることやし、ベロベロに酔っても安心やな」
yasuが満面の笑みで、ちょうど俺の隣にいた恵梨を見て言った。
話を振られた恵梨は、目を丸くしてyasuを見る。
「私・・・ですか?」
「あぁ、恵梨、車の免許持っとるやろ?俺らがベロンベロンに酔っぱらっても、家まで送ってくれるやろ?」
にっこりと微笑むyasu。
俺の隣の恵梨は動きを止めている。
「どうした、恵梨」
「く、車・・・ですか・・・」
恵梨はそう呟くと、yasuから目を逸らして困ったように少しだけ笑った。
俺は恵梨に話しかける。
「免許、持っとるやろ?」
「持ってますけど・・・」
「じゃあ、ええやん」
「いや・・・良くないんですよ・・・」
恵梨は俯くと、ゴニョゴニョと口の中で何か呟いた。
「あ?何だって?」
「私、ペーパードライバーなんです・・・!」