第8章 爆豪のスタートライン
6スタートライン④
「皆…止めたんだけど、さっき黙って帰っちゃったよ…」
麗日の言葉に、走り出す緑谷……
彼の心情は、爆豪が言った。騙していたという言葉でいっぱいだった。
彼は騙していた訳でなく……貰ったのだ…
だから……彼の誤解を解きたい。
急いで、下駄箱を抜ければ、
爆豪の姿、彼は大声で爆豪に叫ぶ。
「かっちゃん!……かっちゃん!!」
足を止める爆豪
「あぁ!?」
怖い顔に少し怯むが、緑谷は彼へ思いを告げた。
彼には、話すべきだ……いや…話したい。
母にも言ってない……秘密……けど…
唇を噛み締め、息を飲む。
「これだけは……君には言わなきゃって思って……僕の個性は…人から授かったものなんだ……」
「誰から……貰ったかは言わない……いや…言えない……でも…コミックみたいな話だけど……本当で……
お陰に全然、扱えない借り物で…だから使わず君に勝とうとした。結局勝てなくてそれに頼った……僕はまだまだで……」
長い彼の言葉にイライラする爆豪……
だが、彼は続けた。真剣な眼差しで、
真っ直ぐに……
「だから……いつか……この個性を自分のものにして……僕の力で君を超えるよ!!」
目を見開く爆豪……
一方………彼は少し誤りに来たはずだが、宣言してしまったことに少し焦る。
そして、
彼の思いを聞いた爆豪はその場で思いっきり拳を握りしめると声を荒らげた。
「なんだ……そりゃあ!!借り物?……わけわかんねぇ事言ってこれ以上コケにしてどうするつもりだ?…なぁ!!……だから…何だ……今日……俺は……てめぇに負けた……
そんだけだろが!そんだけ……!!氷のやつ見て……勝てねぇかも適わねぇんじゃって……思っちまったあ!!!!
くそぉ!ポニーテルの奴が言ってたことに納得しちまったあ!!!!
それに……能面女には、力も思いも……言ってることにも、全部……勝てねぇッて思っちまった!!!!
くそぉ!くそぉ……くそぉ!!」
爆豪の叫びに、彼はただ棒立ちする。
彼に向け、爆豪は顔を上げると、
「なぁ!!てめぇもだ!!デク……こっからだ!!!!俺はこっから!!俺はここで!!一番になってやる!!!!」
涙に濡れるその顔は、今までで1番彼を輝かせていた。
これが、爆豪勝己のスタートラインだ。