第1章 「噂」
拓弥は…。
「偶然ね……。」
眼鏡をクイッと上げた。
「ほ、本当に…偶然なんだってば!」
拓弥は、笑っていた。
「わかっているって。」
思わず、俺は拓弥の事を睨み付けた。
…本当にわかっているのか?
俺は、溜め息をしてクラスのところへ向かった。
席に着いた。
すぐに、教師が来た。
そして…。
「小テスト、やるぞ!」
クラスの皆は、声をあげた。
「「「えぇ~~!!」」」
…まじか。
小テストあるのは前から知っていたけど…。
今日とか、わからたかった。
まして…漢字だし…。
わかるかな?
やるだけやってみるか……。
教師の合図で全員やり始めた。
~10分後~
……終わった。
大体書けたから、大丈夫かな…。
拓弥が、俺に話しかけてきた。
「瀞哉…どうだった?」
「あぁ。なんとか書けたよ…。だけど…難しい。」
拓弥は、少し困っていた顔をしていた。
「…いいな。俺は、2個ぐらい空欄だよ…。」
「…大丈夫だ。拓弥だから…。」
拓弥は、頷いた。
「…ありがとう。」
恐らく、彼女のところも、小テストやったと思う。
Aクラスは、勉強量すごいからな~。
…今日も、頑張るか。
部活もあるし……。
~放課後~
俺は、背伸びをした。
「ん~っ…。はぁ…。疲れた。」
やっと、今日の分は終わった。
俺は、拓弥と別れ部室に向かった。
ガラッ…。
「…失礼します。」
ドアを開けた。
「おう!来たか。瀞哉…。」
俺に、挨拶をしてきた先輩。
谷村隗羅(たにむらかいら)先輩だ。
この、剣道部の部長だ。
はっきり言って、尊敬できる先輩だ。
「こんにちは。隗羅先輩。今日は、よろしくお願いします!」
俺は、お辞儀をした。
「おう!」
と先輩は、言ってくれた。
すると…。
先輩は、何か思い出したかのように、俺に向かって言った。
「そうだ、瀞哉…。お前…。弓道部の梁沢闇璃と…付き合ってるのか?」
俺は、思わず…。
「はあっ!?」
という声を出してしまった。
なんで、先輩がそんな事を聞くんだ?
…わからない。
すると…。
「いや、噂でお前と梁沢が付き合ってるという事を、聞いただけだ。」
…噂か。
ほんと…仕方ないな。