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死の道へ

第5章 「すれ違い」


左の剣には、闇璃の血が付いていた。

彼女の右腕から血が流れていた。

彼女の表情には、苦痛の顔を浮かべていた。

『っ…。もう…私は…。』

そう呟いた。

俺には、何の事かわからなかった。

彼女の大鎌が光った。

そして、襲い掛かってきた。

俺は、右の剣で受け止めるが……。

ピキッ……。

嫌な音が聞こえていた。

俺は、闇璃から離れる。

その時……。

パキーンッ!

剣が砕け散った。

先祖の剣が壊れたのだ。

俺は、息を呑んだ。

俺は、剣を持ち替えた。

俺に残っているのは、この剣だけだ……。

俺は、構える。

闇璃は、大鎌に黒い霧を発生させた。

威力でも、上げるのか?

そして……。

『瀞哉さん…。貴方は、ここで死んでもらいます。私達…死神のためにも…ね…。』

闇璃は、俺に向かって走って来た。

俺は、歯を噛みしめ……。

そして……。

俺は……。

『闇璃ーーーー!!』

俺は、叫んで彼女に向かって剣を向けた。

そして……。

ザシュッ!

とてつもない音が聞こえてきた。

俺の手には、何か温かい物が流れてきた。

恐らく、これは血だろう……。

俺自身は、何も痛みが襲ってこなかった。

逆に……。

『…っあ…が…。うっ…。』

苦しげに声を出す闇璃……。

俺の剣は、彼女の胸から背中へと貫通していた。

そう、全て彼女の血が流れ出していた。

大鎌が彼女の手から落ちていった。

俺の頬には、涙が流れていた。

……本当は、失いたくはなかった……。

俺は、このまま彼女を抱き寄せた。

彼女の温もりがなかった。

すでに、冷たくなっていた……。

でも、まだ彼女は生きていた。

僅かに、息をしていた。

俺は……。

『…だ。…闇璃…。闇璃…俺は…お前の事が…好きだ。今でも…これからも…。』

そう、俺は彼女に告白をした。

もう、こんなことしても、彼女は助からない。

そうわかっていたはずなのに、それでも伝えたかった。

ずっと前から……。

闇璃は、フフッ……と横で笑っていた。

死神としてではない、普通の闇璃が笑っていた。

『…ありがとう…ござ、います…。こん…な…私…でも、好きな…人が…いるなんて…。』
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