第1章 「噂」
「お帰り。」
俺の母さんがいた。
夕食の準備を始めていた。
椅子に、座っている父さんもいた。
「…。」
やけに、父さんは黙っていた。
俺は、気になった。
そして…。
『邪悪な、気配がする。』
俺は、驚いた。
父さんが、この能力を使うのだから…。
俺は、完全に黙ってしまった。
それに…邪悪な気配にも気になっていた。
父さんが、使ったこの能力は、天使にしか使えない能力。
この能力は、天使の証だという。
この能力で、会話をすると、普通の人間には聞こえない。
おまけに、緑色で空中に文字が漂っている。
会話をした内容が…浮かんでいるのだ。
勿論、これも人間には見えない。
ある意味、便利?なのかな…。
「父さん…。」
『瀞哉、使え!話がある。』
…本当に、めんどくさい。
普通に、話せばいいのに…。
俺は、仕方なく使った。
『…わかったよ。で…話ってなに?』
父さんは、満足そうに頷き言った。
『さっきも、言ったとおりに、邪悪の気配がする。』
母さんは、恐る恐る言った。
『まさか…死神が復活したの?』
父さんは、頷いた。
死神…。
無関係な人を、次々と殺す存在が…。
死神。
だが…絶滅したはずなのに…。
今になって…どういう事だ。
物語では、最後は、天使が死神に勝ったと書かれていた。
まだ、終わってないのか?
だとしたか…また…。
父さんが言った。
『死神を排除しなければ…。』
母さんも頷いていた。
俺は、黙ってしまった。
まさか…戦いが来るなんて思ってもいなかったからだ。
俺は、黙ったまんまだった。
父さんは、俺を見て言った。
『怖いか?』
俺は、首を左右に振った。
怖くは、ない。といえば…嘘になるが…。
俺にとっては、始めての死神だ。
戦いの経験は、まだだ。
本当に、俺は、戦えるのだろうか…。
それだけが…不安だった。
父さんは、ハアーと息を吐いて立った。
『瀞哉…。地下に行くぞ。』
『地下?』
俺は、首を傾げた。
とりあえず、俺は父さんの後について行った。
ボタンを押した。
ギィ…。
重い扉が、開いた。
俺は、思わず驚いた。
階段を下りる。
明かりが点いた。
そこには……。