第1章 「噂」
お互いに、手を振って別れた。
ゾクッ!
背中から物凄い冷たい視線を感じた。
振り向く、誰もいない。
……気のせいか?
いや、違う……。
確かに、感じた。
視線を……誰なんだ?
……もしかして、死神……か?
わからない……。
もしかしたら、そうかもしれない。
考えても仕方ない。
教室に、向かおう。
~教室~
俺は、席に座った。
いつもより、教室は落ち着いていなかった。
無理もない。
死神が出て、ましてや犠牲者が出てしまったのだから……。
早く、早く……死神を始末しないと……。
犠牲者が、増えるだけだ……。
平和に、暮らせない。
そうやって、深く考えてしまった。
「…や…。瀞…瀞哉!」
俺は、驚いた。
拓弥の方を見た。
「大丈夫か?」
俺は、頷いた。
俺は、どうやら拓弥の呼びかけに気付かなかったのだろう。
……本当に、参ったな。
闇璃の方は、大丈夫なのだろうか……。
どうしても、心配だ。
朝、あんなに落ち込んでて、部活……参加するのか?
後で、闇璃のクラスに行ってみるか……。
気になってしょうがない。
すぐに、先生が来て授業を開始をした。
~放課後~
俺は、拓弥を連れて闇璃の教室に向かった。
彼女がいた……。
いつも通りの…いじめっ子3人……。
違う…違う!
3人じゃない、4人だ!
……まさかっ!
昨夜の犠牲者の女子って……闇璃の事をいじめてた……女子っ!?
どうやら、拓弥もわかったらしい……。
彼女は、教室を出たところを、引き止めた。
「闇璃!犠牲者の女子って…。」
彼女は、無言のまま頷いた。
俺と拓弥は、黙ってしまった。
彼女の口が、動いた。
「…なんででしょうね。…こんな、重い気持ちは…。」
呟いた。
確かに、今の俺も気持ちが重たい……。
悔しい……もっと早く犠牲者を、阻止しておけば良かった。
でも、今の気配では、死神はいない……。
夜に活動しているのだろう……。
今は、諦めるしかないのか。
溜め息をした……。
その様子で、闇璃が心配そうな顔をした。
「だ、大丈夫ですか?…疲れているのなら、部活を休んだ方がいいですよ…。」
俺は、驚いた。
拓弥も同じ考えのようだ。