第1章 夏フェス限定スト全員分書いちゃうぞ!〈上杉謙信〉
「……だが、確かにずっとこうしている訳にもいかんな。此処が何処かは分からないが、帰り道を探さねばならん」
「帰り道……」
「どうした?」
「いえ……その……」
言葉を詰まらせるに、謙信は安心させるような声で、優しく促した。
「何も臆する事はない。此処には、俺とお前の、2人だけなのだから。言ってみろ」
「はい。……実は、今私達が着ている物は水着という物なんです」
「水着?」
「デザインからして、私の居た500年後の物だと思います」
「ほう。……では、此処は500年後という事か?」
「それは分かりません。なので、確証はありませんが、これは夢なんじゃないかなって……」
「夢、か。……この暑さや、目の前にいるお前まで、夢だと言うのか?」
「確証はありませんが……」
「……夢だと言うのなら合点はいくが、お前の存在までもが夢だと言うのなら、俺は目を覚ませば死んでしまうだろう」
「謙信様?」
「目が覚めた時、お前はちゃんと俺の隣に居るのか?……もし、お前と出逢った事さえ、夢であったらと思うと……俺は恐ろしい」
少し前までの熱い視線とは違い……
今にも消えてしまいそうな、儚げで悲しい色を、その瞳に宿す謙信を前に、は愛しさが込み上げてきた。
謙信の逞しい躰を、がぎゅっと抱き締める。