第2章 メロキフィストという少女
制服に身を包んだメロキフィストはサタンの側近である証のカメオチョーカー、指輪、ブレスレット、イヤリングを外した。
「ルシファーは私に無駄にアクセサリーをつけたがる…。」
毎度、毎度面倒臭いと顔をしかめてみせる。
教科書を詰め込んで重量の増した鞄を肩に掛け、部屋を後にする。
サタン城の門口に着けば、門口の隅に置かれている脚の高い器に盛られている粉を手に取る。
粉を足元に振り撒き、呪文と行き先を呟くと、足元の粉からシュワシュワという音と黒煙が発生する。
黒煙がメロキフィストの全身を包み、視界がすっかりと覆われる。
視界が開ければ、もうそこは教室の中である。
いつも通り、誰もいない教室を見渡しため息を零す。
「今日も1番乗り…。秘密を貫くのも大変だ…。」
この魔力消費のない交通手段は、サタン城でしか使うことができない。そのため、こんな登校の仕方をしていると知られればメロキフィストがサタン城に住んでいることがばれてしまう。
メロキフィストがサタン城に住んでいることを知っているのは、学校の一部の教師とメロキフィストだけである。
…帰りは仕方なく、自らの魔力でサタン城まで帰るのだが…。