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第3章 夢見たこと





「おやすみなさい、お義父様。」

ゼヴィウスは、夜遅くまで仕事をする義父に寝る前の挨拶を毎日している。これも、彼の習慣の1つである。彼の顔を見るに、全く眠そうではない。
書類にサインする手を止めて、ミカエルはゼヴィウスの方へ顔を上げてた。羽根ペンをインクへと着け直し、手を離した。

「ああ、ゼヴィウス。おやすみ、良い夢を。」

部屋に置いてある甲冑を見れば、それとは相応しいと言い難い、優しい笑みを讃え言う。

部屋を出るゼヴィウスを確認してから、再度書類と向き合うミカエル。ミカエルは1度だけゼヴィウスに何故睡眠をとるのか、と聞いたことがあった。ゼヴィウスは、

『なんとなくです。』

と答えた。"なんとなく"でないこと、ミカエルにはお見通しである。しかし、息子の好きにさせてやろうと放っておいてやっているのだ。
そのうちわかるだろう、と思いつつ、書類にもう、何回目かわからない自分の名前を記入していた。




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