第50章 ホールドミー
次はー、広島ー広島ー
山陽本線にお乗り換えの方はー五番乗り場に…
アナウンスの声に、轟は閉じていた二色の瞳を開けた。
「ここだな」
「話しかけんな、舐めプ野郎」
轟はキャリーバッグ、爆豪は大きめのボストンバッグを手に席から立ち上がる。
2人のインターン先に指定されたのは、「広島県」。
緑谷達の対峙した極道の抗争の余波による極道ヴィランにたいする戦力増強…それが今回のインターン最大の目的だ。
ホームに降り立つと、ちょうど「広島」と書かれた新幹線の看板の目の前だった。
それを見ると、本当に来てしまったのだと、痛感する。
ーーー今、やはり寧々と離れるべきではなかったのではないか…
だが、寧々に言われた言葉を思い出すと、応援してくれている寧々のためにも、このインターンを成功させることが最重要事項のように思えた。
ーーー『行かないなら、嫌いになるから!』
きっと俺の背中を押すために言ってくれた言葉…ならばその意思、受け取らざるおえない。
(二週間の我慢だ…)
学べることの全てを学んで帰る。
それが、送り出してくれた寧々へのせめてもの償いのように思えた。