第49章 ドントストップミー
焦凍の自由な右手が太ももを何度も何度も撫で上げて、
そのたびに悩ましい吐息が漏れる
両腕は体を抱きしめているから、口元を覆うこともできず、
ただ下唇を噛んで耐えた。
焦凍の指先が下着のゴムをつつつ…となぞる。
けれど、中には介入してこなくて
不安と期待が入り交じり、ぎゅっと閉じていた瞳をそろそろと開けた。
目を開けてすぐに飛び込んでくるオッドアイ。
左右非対称の瞳が焼け付くような眼光を宿してこちらを見つめている。
『ひぅっ!!!』
目が合っただけなのに、ブワッと体を覆っていく熱に
脳髄から快楽が溢れ出した。
思わず内股にももを擦り合わせると、焦凍は瞳を細めて笑う。
(イっちまったか?)
と言いたげな満足そうな表情に泣き出しそうになるほど恥ずかしくなって
両手の平で顔を隠した。
焦凍はそのまま、ずっと嬲っていたパンツと皮膚の境界線から
ゆっくり染み込むように指を入れ
引っかかったところの布を引き下ろして下着を脱がしていった。
内股に閉じた膝を開くと、
何故かそこで1度
焦凍の動きが止まって、恐る恐る指の間から焦凍を見上げる。
「糸…引いてる…」
『……え。』
見下ろすと、下着と恥部のあいだに伸びる透明の糸。
『や…これ…は……ッん』
「……」
無言で貪られる唇に、焦凍がどれくらい興奮しているのか感じて
恥ずかしかったけれど、でも、必死な焦凍が可愛くて…
もうドロドロに蕩けきった私の中を、焦凍の太い指がめちゃくちゃに掻き回した。
焦凍にしがみつくと、触りなれないヒーローコスチュームの手触りと、いつもより匂いの濃い体に体の奥がキュンキュンと締まる。
焦凍はいつもほどんど無臭で、何方かと言えば柑橘系とミントを混ぜたような匂いがする程度。
でも今日は、訓練をしてないにしろ、ヒーローコスチュームには焦凍の匂いが移っていて…
薄く香る雄の匂いがどうしようもなく、焦凍の綺麗な顔には不似合いで
そのアンバランスさが、私を欲情させた。