第6章 ハグミー
どれくらい歩いただろう、私は家の方面ではない方に来ていた
どちらとも口を開くことなく歩いている
不思議と気まずくはない
勝己くんは一件の家の前で立ち止まった
『………勝己くん?』
呼びかけると腕を掴まれる
そしてその家の中に入っていった
『え?ぇえ?』
「帰った!!!」
玄関で叫ぶ勝己くん
「あーおかえり…って
え?その子…もしかして…」
奥から勝己くんそっくりな女の人が出てきて
私の方を見ながら目を見開いている
『あ、あのお邪魔しま…す…』
「嫁だ」
サラッと大嘘をつく勝己くん
「やっぱり!!テレビ映ってた美少女ちゃんだよね!
生で見た方がもっとかわいいじゃん!
やるな、クソ息子!」
女の人が勝己くんの頭をワシワシ…というかグワシグワシといったように強く撫で、私のことをキラキラとした目で見てくるので
『あ、いや今のは勝己くんの冗談です!
勝己くんと仲良くさせていただいてる口付寧々です!よろしくおねがいします』
「あ゛?」
勝己くんに睨まれる
「えーー
そうなの…残念、可愛い娘が出来ると思ったのに」
あからさまに肩を落とす
「部屋上がる」
「はーい、子供はまだ作ったらダメよー」
「うっせぇババァ!黙っとけ!」
「おーこわいこわい」
私は腕を引かれて勝己くんの部屋に連れていかれる
『勝己くん、あの…』
「何も言わずに連れてきて悪かった」
『あ、うん…大丈夫』
「カメラ持った奴がついてきやがってたから
ここしかねーかなって」
『え!そうだったんだ…気づかなかった…』
導かれるままに、ベッドの端に腰掛ける
ドカッと爆豪くんも隣に座る
そう言えば、お兄ちゃん以外の男の人のお部屋来たことないな…
とつぜん恥ずかしくなってきた
「今日の一位だけどよ」
『うん…』
「あれはノーカンだ」
『え?』
「納得いく一位じゃねぇと、お前にやれねぇだろうが」
こっちを真っ直ぐ向いて、勝己くんが言う
「お前をオレのものにしたかった」
真っ直ぐな赤い瞳で言われる
コクリと唾を飲み込んだ
爆豪くんの手が、私の方に伸びてくる