第47章 ウォークミー
轟と校舎に向かうと、1年玄関の所で何人かの元クラスメイトと出くわした。
刺さるような視線の中、ヒーロー科に新しく備え付けられている口付寧々の下駄箱に靴を押し込み、新しい室内履きに履き替える。
1-A…その文字に顔を顰めた。
分かっている、もう逃げられない。
これが最善策なんだから…。
そう思っていても、なかなか踏み出せない1歩に、轟は心配そうな視線を向ける。
「何ぼーっと突っ立ってんだ
時間は有限。ここではそんなのんびり行動許さないからな」
ぬるりとそんな声がして、振り向けば、小脇に寝袋を抱え、手には搾り取られたウィダーインゼリー…。
『相澤先生…』
「お前の席は、あそこね」
相澤の指さす方には、教室の窓側1番後に、ひと席だけ突き出た席がある。
『わかりました…』
「俺は新しい名簿刷ってくるから、2分ホームルームが遅れるって、委員長に言っといてくれ」
そう言って相澤はまたぬらりと廊下を去って行った。