第45章 メイズミー
4人が寮に帰ったのは、深夜3時と4時の間くらいで
寧々は1-Cの自室に戻るとベッドに崩れ込んで枕を抱きかかえた。
校舎前も、報道陣が溢れかえっていた…
あの人数の探している標的が自分だと思うと目眩がする。
(みんなはどう…思ったのかな…)
寝静まったクラスメイトたちの事を思い浮かべると、もっと不安になり、少しだけC組寮に帰ってきてしまった事を後悔する。
(でも、大丈夫…だよね)
クラスメイトは基本みんな優しいし、悪い人たちじゃない。
説明すればきっと分かってもらえるはずだ。
そう思うと、ホッと安心できた
あの夢の続きを見たくて、目を瞑る。
けれど、眠ることも出来なくて、アラタがオーストラリアに行ってすぐ送ってくれた
海の写真集を本棚から抜き取った。
『何度見ても…すごく綺麗だなぁ』
パラパラとめくっていくページの中で、お気に入りはこの写真…
サンタさんがサーフィンしているの。
オーストラリアは日本と季節が真逆だから、クリスマスは夏真っ盛りで
サンタクロースは白いお髭に赤い三角帽子…そして、真っ赤なサーフィンパンツでソリじゃなくてサーフボードに乗っている。
この写真を見ると、どうしようもなくおかしくて
クスクス笑顔が出てくるの
アラタは明日、オーストラリアに帰る。
ーーー「くる?俺と一緒に オーストラリア。」
そう言われて、ぜんぜん…揺らがなかったの
本当に、びっくりするくらい私は冷静に…あの判断をした…
分かってる。
逃げるのが得策だ…
ヒーローっていうものは、なろうと思ってなれるものじゃない…。
やっぱり、明日もう一度……先生に話に行こう。
きっと話し合えば…分かってもらえるから
やっときた眠気に目を閉じた