第41章 コンビニエントフォーミー4
「ーーーーったぁ……何すんだよ」
開けた視界には、倒れるお兄ちゃんと
お兄ちゃんを押し付ける爆豪くん。
耳まで赤くなった爆豪くんは、照れてるのか怒ってるのかよくわからない表情をしていた。
「何つー事、人前でやってんだ、カス!!!」
「はぁ?君がやれって言ったんだろ!
その上、邪魔しないでくれる!?」
理不尽な事をいう爆豪に、爆豪からコピーした個性で物間は爆破を繰り出した。
「っから!個性被ってんじゃねぇ!死ねクズ」
『ちょ…ちょっと、2人とも…』
寧々はギリギリと掴みあう2人を止めようとするが
爆豪に睨まれ、その視線の鋭さに萎縮してしまう
爆豪は、寧々の手元を見つめたあと
さらにその視線を鋭くした。
何も起きない小さな両手が、たった1つの望みも敗れたことの証明になる。
(もしこのクソ女が…あの時の女なら…なんて
あるはずもねぇ期待持ってんじゃねぇ……)
もし、探し続けている少女なら
キスした時点で、物間の個性である【爆破】をコピーしているはずだ。
それがない時点で、この女はあの時の少女ではない。
偶然の繰り返しが生み出した誤解は、確信へと変わる。
それでも、寧々を見ればギュウギュウ締め付けられる胸に盛大に舌打ちをして
その場を立ち去った。
『……大丈夫?お兄ちゃん』
駆け寄ると、あ゛ーーーーーと唸る兄に寧々はビクッと驚く。
「何あいつ……本気の目しやがって」
そのつぶやきは寧々の耳には届かないほど小さく
ただ一方的に、去っていく学ラン姿の背中に投げかけられた