第37章 ファイトミー
『!?』
カーテンを開けたのは、焦凍
綺麗な二色の瞳と目が合うと
ここ数日間胸に抱いていた疑問は全部消えていった
焦凍のどこが好きだったのかな?とか
あんな酷いことをされて、まだ好きなのかな?とか
全部、どうでもよくなってしまった。
私
この人のことが好きだ。
胸の高鳴りが、そう訴えてくる。
言葉を発する前に腕を引かれて
薄い布の二人だけの世界に引き込まれた
無言で抱きしめられて、少し身を固くしてしまったけれど
焦凍の香りを感じて
力が抜けていく
「……悪かった」
耳元で低く、唸るような声
私の両手は焦凍の背中に巻きついて
ギュッと力が入る
「悪かった…寧々…」
『うん…うん…』
自分が泣いてるんだって、気づいたのはこの時で、
紺色が深くなっていく焦凍のヒーローコスチュームにまぶたを重ねた。
焦凍の額が移動して、私の額に重なる
なんでこんなにドキドキするんだろう。
焦凍の上に跨る形になっているから?
抱かれた腰元の彼の手が熱いから?
わからない…けれど、好き
初めてキスをする時のような
ドキドキが、胸を打つ。
ゆっくり重ねられた唇が
好き。
「ん……」
焦凍の体がピクって動いた
なんだかそれが恥ずかしくて、でも可愛くて…
絡んでいく舌が結び合うみたいにお互いの口の中で動く。
『んっ…ふぁ…』
たった何日間か会わなかっただけなのに
その時間を埋めるみたいに貪られて
たまらなくなる。
焦凍の指先が、ブレザーの中のワイシャツをゆっくりと撫でて上に上がってきた
熱い何かが股下の薄い布団を押し上げて主張してくる
『っ…!?』
口を離そうと首を引いたのに
噛み付くみたいにまた塞がれて、抗議の言葉さえ飲み込まれた。
「っハァ……寧々…」
彼は熱情を隠す気なんてないみたいに
腰をすり寄せる
『ちょ、ちょっと…まって』
私は声を潜めて、焦凍を見つめた
綺麗な顔は、うっとりとこちらを向いている。