第34章 ゲットミー
頭から氷水をかけられたら、こんな感じなのだろうか
俺は、酸素が薄くなっていくような感覚の中で
寧々のことを見つめた
「な……」
「一年くらいかなぁ…
オレオーストラリアに進学したから
高校卒業するときに別れちゃったんだけどね」
軽い物言いに、イラつくことも忘れてしまう。
なんなんだそれ、
いや、別に寧々の元彼云々はいい…
よくはねぇが、一旦置いておく
そうじゃない、
一番の問題は
なんで、寧々がそれを隠したか。だ
「オレ、やり直すつもりで日本帰ってきたから」
いきなり真剣な声が受話器から漏れる
俺は何も返事せずに一方的に電話を切った
今すぐ、眠る寧々を起こして
問いただしたい気持ちになる。
どうして隠したんだ、とか
どんな関係だったのか、とか
まだあいつのことが好きなのか、とか
色々……
でも、それをしなかったのは
聞いてしまえば、どうしようもなくなってしまいそうな気がしたから
返事によっては、タダでさえ脆くなっている心が壊れてしまいそうだから。