第33章 トラップミー
腕の中に収まって脚まで絡み合ったまま横になる
『ごめんね…焦凍』
しおらしく謝る寧々に轟は首を振った
「なんで謝んだ
後悔してんのか?」
『ん…どうなんだろ…
でも前、他の女の子ともっと仲良くしてって言ったの覚えてる?』
その問に、轟は声に出さずに頷いて返事をした
『…あれは
ちょっと後悔してる…かも?』
「…何でそこは疑問形なんだ」
少し体を起こした轟の二色の瞳が寧々を見つめる
寧々は口元を布団で隠して、恥ずかしげにその瞳を見つめ返した
「ちゃんと言ってくれ」
『でも…私にそんなこと言う資格無いし』
「俺は、言われたがってる」
焦凍は変なところで頑固だったりする
こうなってしまったら、きっと言うまで話題を変えることを許してくれないだろう
『…焦凍が、他の女の子と
仲良くしたら、ヤキモチ妬いちゃう
私だけ…見てほしい…』
ごめんね、と付け加える頃には、布団で眉毛の上まで隠してしまい
声はくぐもって聞こえた
轟は、心底嬉しそうに顔をほころばせると
布団ごと寧々を抱きしめる
「なぁ、布団で隠さないでくれ
顔がみてぇんだ」
『やだよ…だって絶対変な顔になってるもん』
嫌だと言っても、ゆっくりとめくられて
視線が絡み合う
「変じゃねぇ……かわいい」
その言葉に、寧々の頬はさらに赤みを増した
『そういう事言うから、私が付け上がってワガママになっちゃうんだよ?』
顔を隠した指の間から轟を見上げながら寧々が頬を膨らますと
轟は桃色に染まった耳に口づけを落とし、
「ならもっと言ってやる
だからもっと俺の事を欲しがってくれ」
こんなに可愛い嫉妬なら大歓迎
俺は全部、寧々だけの物だ