第29章 イートミー
眠る轟を残して
寧々は静かに部屋を出る
外に出ると、日付の変わってまもない空には
無数の星が輝いていた
ため息を吐くと、白い息がふわりと線を作って溶ける
今日、二人は仮免講習のはずで
寧々は、あの実力者二人が
ヒーロー科の中で唯一仮免許を取得できていないのは自分のせいだとおもっていた
(自惚れているのかもしれないけれど…
私が二人の足を引っ張っている…よね)
だからといってどうすることも出来ていないのが現状だ
寧々は振り返らずに寮にもどった
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翌朝、
轟と爆豪は仮免講習に向かうため二人、寮を出る
ラムの一件があって、初めて二人きりになるのだが、
二人は以前にようにギスギスした雰囲気はなく
だが、爆豪は変わらずそれがルーティンのように轟に食ってかかっていた
「相澤先生…昨日の今日で申し訳ねぇな…」
相澤は昨晩インターンの生徒の引率に付き合っていたため
休みなしに、轟と爆豪に付いてくるとなると、申し訳ない
だが爆豪に話しかけると、「てめぇと世間話をするつもりはねぇ!」と睨まれてしまった
そういえば、と轟は思う
(昨日寧々の体には無数に噛み付かれた跡があった
あれは流石に多すぎじゃねぇか?
まぁ、それに妬いて俺も噛んだから責めれたもんじゃないが…)
注意だけしておこうと口を開くが
「おま…「遅せーーーよ!BADBOYS!!!」
話しかけた轟と、爆豪の視線はその声の主…
プレゼントマイクとオールマイトに向けられ、それ以降の言葉は出てこなかった
今日はこの二人が相澤に変わって引率するとのこと
轟達は研修先についてすぐ、特に会話をするでもなく
更衣室に向かう
その途中、士傑高校ヒーロー科の補習生徒達と
居合わせた
轟にとっては、あまり得意ではない夜嵐イサナは
巨体に似合う大きな声でハキハキと挨拶をしながら二人に近づいてくる
そこに、夜嵐について、もう1人の士傑補習生徒のケミィが
「やばー驚嘆〜
イケメンと補習とかマジ恐悦〜」
と何を言っているのか、もはや日本語かも怪しい言語で
ニコニコと愛想の良い表情を浮かべて近寄ってきた