第27章 サプライズミー
爆豪はドアノブにかけてある紙袋に首をひねった
開けてみると、中身はこの間寧々に貸した服と
《狂辛旨味せんべい》とパッケージに書かれた菓子
それに貼り付けられた付箋には
『勝己へ
この間は、お洋服貸してくれてありがとう
勝己の好きそうなお菓子を見つけたから
一緒に入れておくね( ˙ᵕ˙ )
週末の仮免講習がんばって』
と書かれている。
爆豪は丁寧に付箋を剥がし
机の前に貼り付け
そのままベッドにダイブして体を投げ出す
仮免のことを思うと、やっぱり納得いってねぇ
ヒーロー科の中で、受かってねぇのは俺と轟のだけだ
皮肉なことに
体育祭で1.2位を取った2人が揃いも揃って…
今まで、ある程度やればなんでもできた
勉強もできたし、手先も器用で、加えてこの強個性
もちろん、更に上に行くために努力もした
そのせいか、女にもモテた
ダチが羨ましがる程度には…
でも、どの女にも1ミリたりとも魅力を感じなかった
俺には守らねぇといけねぇ約束があったから
寧々の持ってきた紙袋に手を伸ばし
中の菓子袋を掴む
爆豪はそのまま寮を後にした。
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寧々は、小さく震えたスマホに手を伸ばす
轟の本気を相手にした後で身体はガタガタで
手を伸ばすのさえも億劫だった
画面をみると
《爆豪勝己》と画面が光る
「下」と一言書かれているだけなのに
意味が分かるなんて
私はきっと特殊な訓練でも受けたのだろうか
窓を開けて下を見ると
案の定、勝己がこちらを見上げていて
軽く1度爆風を上げると、部屋の窓に手をかけて
ヒラリと中に入ってきた
『どうかした?』
勝己はさっき私がお礼に入れておいた
激辛せんべいを、ローテーブルに置いて
「別に」
と言って机のそばに座る
小さく音を立ててテレビを付けると
ちょうどヒーローニュースをやっていた
せんべいの袋を空けて、バリバリ食べ始めたから
熱いお茶でいいだろうか…とお湯を沸かす
お兄ちゃんと使っていたペアの湯呑みを棚から出して
湯気の立つ玄米茶を注いで勝己の前に置いた