第2章 ルックアットミー
珍しく1人で帰っていると、駅のホームで轟くんを見つけた
『轟くん!』
思い切って話しかけてみると綺麗な碧眼がこちらを見た
「寧々…
こっち方面なのか?」
『うん、轟くんもお家こっちなんだね』
自分でも少し顔が熱いのが分かる
赤くなってないといいけど…なんて、頬に手を添える
「一緒に帰るか」
思いがけない提案に嬉しくなってしまった
『え!いいの?』
「あぁ」
轟くんは優しく笑ってくれて、
私も嬉しくて笑ってしまう
『轟くんの個性は氷なんだねー』
「寧々はコピーか、便利だな」
『使いこなせればの話だよぉ』
電車を降り、並んで歩いた
まさか降りる駅も同じ、帰る方面も同じだなんて
話はいつの間にか個性の話に、
でも本当の個性の話はできないので、なんとなく嘘をついてる気分になる
と同時に、
氷の能力…轟くんはあの時の男の子じゃないんだ…
なんて少し残念に思う自分がいた
だって「あの子」は火の様な能力だったから
『あ、私ここだから、
またね轟くん』
マンションに着いたので別れを告げると
「…言いづらいんだが、俺もここに住んでる」
少し気まずそうに轟くんが言う
『え!そうなの!?何階?』
「えっと、3階」
『階まで同じ!』
「そんなことあるのか」
逆に今までよく会わなかったものだな、なんて話しながら
一緒にエレベーターに乗った
流石に隣同士の部屋ではなく、ドアの前で別れ
玄関に鍵を差し込もむと、お兄ちゃんの声がして
内側から開けてくれた
「寧々ー、おかえり
遅かったな!」
『ただいまー、先生にホームルーム後手伝わされてさぁー』
「なら今日は飯俺が作るよ」
『優しい!さすがお兄ちゃん!』
お兄ちゃんはフレンチ料理がすごく上手い、
私も教えて貰って一通りはできるけど、フレンチだけはお兄ちゃんの独壇場だ
今日の晩御飯は期待できるぞー♪
とウキウキしながら制服を着替えた