第18章 チューズミー
そうだ、職場体験の時の…
この服装は、爆豪くんとベストジーニストに会った時着てた服だし
そういえば、カメラマンさんが爆豪くんに何か渡してた
それがこれだったのか…
隣に居る爆豪くんの寝顔を見つめながら思う
こんな写真を大切にしてくれてるなんて…
爆豪くん…
私とあなたはどんな関係だったの?
こうやって焦凍に隠れて時々体を重ねるだけの関係?
でもみんな、私とあなたに深い関係があったのを知ってるみたいだった…
教えて欲しい、誰か
その時、スマホが小さく震えた
見ると、お兄ちゃんからのLINEだった
物間【寧々、今どこいる?】
【A組の寮だよ、こんな時間にどうしたの?】寧々
時計を見ると、夜中の2:30だった
物間【なんとなく、寧々が心配になって】
これは、双子あるあるなのかも知れないけれど
どちらかが弱ってたり、事故にあったりするともう1人も嫌な予感がしたり体調がすぐれなかったりする
どんなに離れていても
『お兄ちゃん…』
そうだ、お兄ちゃんに聞けば何かわかるかもしれない
【いまからお兄ちゃんのところ行ってもいい?】寧々
物間【俺が行こうか?】
【ううん、私が行きたい】寧々
散らばった服に袖を通し、爆豪くんの寝顔を見つめる
『………』
なんで、離れたくないって思うんだろう
このまま一緒に居たいなんて
私には焦凍が居るのに、なんてふしだらなので考えなんだろう
これ以上最低な女になるの?
もう十分最低なのに
涙を拭って、静かに部屋を出る
ゆっくり歩きだそうとすると、廊下に切島くんがいた
『きり…しまくん?』声を潜めて呼ぶ
前髪が下りてるけど切島くんだ
「……悪い、壁から声聞こえてて…」
覚えてないけど、最中の声の話だろう
顔が真っ赤になるのがわかる…変な事言ってないといいけど
「まだ、記憶戻んねぇか?」
『うん……』
「そうか…記憶がなくなったのは寧々ちゃんのせいじゃねぇ
俺達がなんの訓練も受けてない寧々ちゃんに無理させすぎたのが原因だ…
けど…」
切島くんはとても心苦しそうに話す
「俺は爆豪を応援してぇ
思い出してやってほしい……
思い出した後、寧々ちゃんはぜってぇ辛い思いすると思う
そん時は俺も力になるから」