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【YOI男主】僕のスーパーヒーロー【勇利&ユーリ】

第4章 僕のスーパーヒーロー


暫くの間互いの近況や色々な話をした後で、純がユーリに尋ねてきた。
「ユリオくんは、勇利に自分の気持ちを伝えへんの?」
「いぃっ!?だ、だってカツ丼は、その…」
スマホ越しでもユーリが相当動揺しているのが判った純は、笑いを噛み殺しながらも重ねて質問する。
「君が僕に『日本語を習いたい』て言うたのは、勇利と話がしたかったのもあるんやろ?」
「そ、そりゃ否定はしねぇけど!でも、言った所で結果は判り切ってるんだから…」
「ユリオくんは、勇利とどうこうなりたいていうよりかは、スケーターとして勇利とどんな風に付き合っていきたいかって気持ちの方が、強いんと違う?」
「え…」
優しく穏やかな純の声を聞いたユーリは、数回目を瞬かせる。
「決めるのはユリオくんやから、僕からはこれ以上言わんけど…よう考え。多分やけど、君が勇利とロシアで一緒にいられる時間は、長いようで短いと思うから」
確かに今後の勇利や特にヴィクトルの去就次第では、再び彼らが拠点を長谷津に移す可能性もあるので、場合によってはピーテルでリンクメイトとして過ごせるのは、今季限りになるかも知れないのだ。
(俺は…俺の気持ちは…)
純との電話を切った後も、ユーリは自分の中で答えを出せず悶々としていた。

「どうしたの?」
勇利に声を掛けられて我に返ったユーリは、慌てて首を横に振る。
何周かリンクを回って氷の感触を確かめながら身体を温めていると、勇利がポケットから何かを取り出して、手袋を外した己の手の甲に載せた。
「最初の遊びはコレ。コインを載せたまま、落とさずにリンクを1周!」
言うや否や、勇利は器用に右手の甲のコインを落とす事なくリンクを周り終えると、ユーリの元へやって来る。
「今度はユリオの番。落とさずに1周出来たら、このコインはユリオに進呈だよ」
「10ルーブルって…水も買えねぇじゃん」
「あれ、逃げるの?」
「あぁ?誰が逃げるかよ!」
勇利から半ばひったくるように10ルーブルコインを取る。
「手袋の隙間にコインを挟むのは、反則だからね」
「しねーよ!」
ユーリも手袋を外した手にコインを載せると、勢い良く滑り出す。
しかし半周も行かない内に、コインは音を立ててリンクに落下した。
「単に腕や上体に注意してるだけじゃ成功しないよ。下半身とのバランスや、体幹にも気を配らないと」
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