第2章 19年後 ロンの失敗
仕事を終えてもすぐに家に帰る気にはなれなかった。
ハーマイオニーが魔法省の中を歩いていると偶然ハリーに会った。
「やあハーマイオニー。今夜は子供達もキャンプだし、久しぶりにうちで夕食はどう?ロンも一緒に」
ハリーが誘った。
「んー。なんと言うか、私とロンは今…」
「ああ、そうなのか。残念だな」
ハリーは察して言った。
「ううん。どうせロンは忙しいと思うから、私だけでお邪魔してもいいかしら?」
「もちろんだよ。ジニーにも連絡しておく」
「ありがとう。じゃああとでね」
ロンと顔を合わせるのを先延ばしにできる口実ができたのが嬉しくて、ハーマイオニーの気持ちは晴れた。
事務所に戻って部下の仕事を代わりに引き受けて暇を潰している間にちょうどいい時間になった。
ハリーの家から少し距離のある場所に姿現しして、徒歩で向かう。
ロンに一応伝えておこうかしら。
ハリーの家の庭に入ってから、杖を出して伝言のためのパトローナスを作り出そうとする。
いつもならロンや、ローズ、ヒューゴのことを考えながら出すのだが、ロンとは喧嘩中だし、家を出る前にローズが一瞬見せた悲しい顔が脳裏に浮かんで、結局作り出すことができなかった。
諦めてドアをノックすると、エプロンをしたジニーがと出てきた。
「いらっしゃい、ハーマイオニー。私の愛しのお兄様は今度は何をやらかしたのかしら?」
ハーマイオニーは家に入って、ジニーに勧められるがままにハリーの座る食卓に座って説明し始めた。
「ロンは子供を放って置いてマダムロスメルタのことを見つめるためにファイヤウィスキーを何本も飲んでいたのよ!」
ハーマイオニーはそう話を締めくくった。
ジニーとハリーが同時にため息をついた。
「またそういうことなの…忘れっぽいんだから」
「懲りないなあ」
「わかるわよ、ハーマイオニー。私もロンにイライラすることにかけては36年目だもの。」
ハーマイオニーはクスッと笑った。