第2章 19年後 ロンの失敗
「その必要はないわ」
ハーマイオニーはきっぱりと言った。
「ロンはどこにいるの?ジョージ」
ジョージは観念したように口を開いた。
5分後、ハーマイオニーは雪の積もったホグズミードを歩いていた。
ジョージが言うにはロンは三本の箒でマダム・ロスメルタにうつつを抜かしているのだという。
「子供のことを忘れて飲み屋にいるなんて…!」
ハーマイオニーはイライラと独り言を言いながら雪の中を歩く。
思い出深い三本の箒に辿り着いて、ハーマイオニーは息も荒く中に入っていった。
「こんにちは」マダムロスメルタが微笑む。
にこりともせずに挨拶を返して店内を見回すと、見覚えのある赤毛がファイアウィスキーを飲みながらマダムを見つめているのを見つけた。
ロンは学生の時からマダムのファンなのだ。
「ロナルド・ウィーズリー!」
ハーマイオニーはロンの真後ろまでくると低い声で言った。
ロンははっとして振り返る。相当驚いた様子だった。
「あっ、ハーマイオニー。やあ」
「やあ、じゃないわ!今日はローズとヒューゴの迎えに行ってくれるんじゃなかったの!?」
ロンの顔にしまった、と言う表情が浮かぶ。やはり忘れていたのだろう。
「いや、悪気はないんだよ。ただ僕忘れていただけで…」
ロンがはじめに謝らなかったことでハーマイオニーはますますイライラした。
「そう、わかったわ。悪気がないならたとえ子供を放ったらかして飲み屋にいたとしても仕方ないわよね。
私、帰るわ。ローズとヒューゴが待ってるの」
ローズとヒューゴはハーマイオニーのマグルの両親やテレビやコンピューターに興味津々で預けられるのを楽しんでいるが、ハーマイオニーは都合よくそれを忘れることにした。
ロンが後ろから呼んでいるのが聞こえたが無視して、大勢の客に見守られながら外に出た。
「ロンってほんとに…!」
そしてその場で両親の家に姿くらましした。