第7章 高杉との決別(注:R15)
朝、ゆっくり目を覚ますと、誰もいなかった。
というか、ここ、俺の住んでる…
…柳生家の屋敷じゃない。
「あ、そっか、俺………。」
晋助に襲われかけたんだった。
その事実が俺の気分をどん底に陥れた。
寝室をキョロキョロと見渡すが、
家主はどこへやらで
俺を布団に置いていったらしい。
重い体をゆっくりと起こして立ち上がる。
「澪は……で……だから………」
「ああ………すれば………だろう」
リビングから誰かの声が聞こえ、
ガラガラと扉を開けると、小太郎と銀時がいた
「ーーー澪、無事か。体は、平気か。」
俺の姿を見るとすぐに小太郎が駆け寄ってきた
「うん、大丈夫だよ。昨日よりは。」
「………そ…そうか。」
小太郎が俺の体をまじまじ見て
眉間にシワを寄せる。
「…………まぁそういう訳だから。
ヅラ、頼むぜ。」
「ヅラじゃない桂だ。
……その件については俺が引き受けよう。」
銀時に返事をした後、俺の方へ向き直した。
「…澪、気をつけろ。
もう二度と、高杉に会うんじゃないぞ。
もし連絡が来たら、俺か銀時に連絡するんだ。
いいな。絶対…約束だ。
高杉も澪が真選組や柳生家にいるかぎり
そう簡単には手を出せないはずだが…
奴の事だ。何を仕掛けてくるか分からぬ。」
俺の肩を掴み話す小太郎はいつになく真剣だ。
「う…うん。」
こくりと頷くと小太郎は手を離した。
「…ヅラ、澪は疲れてんだ。
そのくらいにしてやれ。」
「ヅラじゃない桂だ。
分かっているが、
伝えておかねばと思ったのだ。
…すまないが俺はもう戻る。
ここにいつまでもいると怪しまれるからな。」
傘をかぶり万事屋を出ようとする
小太郎を呼び止める。
「………小太郎。」
「なんだ?」
「もし俺がまた、同じ目にあっていたら…」
「小太郎は、晋助を斬る?」
「……………。」
「ああ、斬る。」
「……………そっ……か。」
「………ああ。またな、澪。」
小太郎の少し寂しそうな背中を
ぼんやり見つめる。
最後に俺を見てふわりと微笑むと
小太郎は万事屋から出ていった。