第7章 高杉との決別(注:R15)
「テメェ、何してやがる!!!!」
その声の方を向く前に、
また、腕をグイッと引っ張られ、
路地裏の反対側に引き寄せられた。
暖かくて、甘い香り…。優しくて男っぽい手。
これは……
「ぎ……ん、と……き?」
ゆっくりと顔を見上げると、やはり銀時だった
力の入らない俺を片腕で支えながら、
銀時は鬼の形相で晋助を睨んでいた。
「ククッ……イイトコだったのに、
邪魔すんじゃねーよ。」
晋助は顔色一つ変えずに笑っていた。
それどころか、晋助の目の濁りは濃く、
深くなっていた。
「…高杉……。何考えてやがる。」
「あぁん?そんなん決まってんだろ、
澪を奪ってやんのさ。全て、な。」
「……んだと?」
「幕府の犬小屋に入んのも、
テメェらの近くで笑ってんのも気に食わねえ。
澪を最初に狙ってたのは俺だァ。
後から来た犬共やテメェらに
渡すわけにはいかねぇんだよ。
澪は……俺のモンだ。俺だけ見ていればいい」
銀時の俺を支える力が強くなる。
晋助はそれを見てクックッと笑った。
「…晋助…だけを……見る?」
「黙ってろ、澪。」
晋助の言っていることは全く理解出来ず
ただその言葉を繰り返すと、
低く、冷たい声が上から響く。
銀時は、激しく怒っていた。
その声が、態度が、物語っていた。
「…テメェみてぇな奴に澪は渡さねぇ。」
その怒りと反対に、晋助は
腹を抱えて笑った。
「ハッハッハ!!
澪を渡さねぇ?ふざけたこと
抜かしやがって……。
テメェは澪のなんだ?
俺と同じただの旧友だろォ………?
出しゃばってんじゃねぇよ!!」
晋助は笑いから一変、怒りで思い切り隣の
ゴミ箱を蹴飛ばす。
鉄製のゴミ箱は、鈍い音がして凹んで倒れ
ガラガラと俺の足元に飛んできた。
実際に被害を被ることはなかったが
俺をビビらせるには十分だった。