第6章 ミツバ編(原作沿い)
取引の前日、帰ってきた伝書鳩が
運んできた通信機を耳につける。
通信機はイヤホンタイプになっており、
トランシーバーのように交信が
できるようになっている。
『神崎、聞こえるか。』
「はい。」
通信機にスイッチを入れると、
すぐに交信が入った。
『明日の計画を伝えるから聞いとけ。
交信がバレたらマズい。
1度しか言わねぇからな。』
「…了解。」
副長は、今どこにいるのだろう。
なんだか救急車の音や色んな人の声が
近くに聞こえる。………病院だろうか?
『いいか?作戦はだな………。』
「…え、副長だけで?」
『あぁ。俺一人でやる。
お前は船を見てこい。
アレつぶさねぇと次の輩が出てくるからな。』
「………はぁ。」
副長は一人で取引の日に討つつもりらしい。
攘夷志士の奴等は
鬼兵隊でも小太郎達穏便派でもない。
そんなに大きくない組織だとはいえ、
1人は流石に無理だろう。
「……命令に背くかもしれませんよ。」
『あ?』
「ま、憎まれ役も大変だなと思って。
…とにかく、加勢はさせてもらいます。」
どうせ一人で背追い込めばなんとかなるとでも
思っているのだろう。
俺だってどうせ真選組で浮きまくってるし、
今更何を背負ったって変わらない。
俺も加勢すれば、副長も動きやすくなる。
『…………チッ。山崎の奴、
誰にも言うなって言ったのに言いやがったな』
「そんなこと言わないで下さい。
退、副長を心配して言ってるんです。」
『知るか。……切るぞ。』
「はい。」
ブツリと音がして通信が切れる。
さて、明日のための準備をしておかなければと
通信機をポケットに入れて、船に忍び込んだ。