第4章 再就職編
「……………はぁぁ……
もう飲めない……。」
グビグビ飲んだ焼酎水割りを机に置き、
フラフラと縁側に出る。
まぁ、結局誰とも馴染めずに
一人で飲んでただけだけど、
タダ酒が飲めるならばこれでもいいかと
空を仰ぐ。
真選組来た時は夕暮れだったのに
いつの間にかすっかり夜だ。
そろそろ帰らないと若に怒られるな。
「あの…こんばんは。」
「ん?」
話しかけてきたのは黒髪の少年だった。
この感じだと、若と同い年くらいかな。
「俺の事、覚えてます?」
そう言われ、彼の顔をマジマジと見る。
………………どこかで見たような
気がしないでもないような…………
分からない。こんな普通すぎる顔の人
覚えてないし…。適当に答えよう。
「もしかしてこの前の?」
「そうですよ!!思い出した?
俺、君を面接室へ案内したんだ。」
「あぁー、あの人か!」
そういえばそんな人いたようないないような。
「俺、真選組で密偵やってる山崎退。
よろしくね。」
「こちらこそ、よろしく。」
とりあえず真選組の方々の名前を
覚えることから始めなければ。
主要人物は覚えてるけど、
下々の人たちは知らないから。
山崎退、山崎退、山崎退…
…っと、覚えた!
「俺と君、立場似てるからさ。
良かったら仲良くやっていこうと思ってね。」
忍者と密偵……。確かに、目的は違えど
やり方は似ている所もある。
とにかく、この居づらい職場の雰囲気を
少しでも変えていこう。
「うん。こちらこそ、
仲良くしてやってください。」
俺は、彼にペコリ、とお辞儀をして笑った。