第2章 柳生編(原作沿い)
(澪視点)
若こと、柳生九兵衛が
嫁である妙様を連れてきたのは
江戸に来てから2日目のことだった。
俺が彼女の居場所を伝えると
走っていった若は、何故か彼女のそばにいた
真選組の隊士達と刀で軽くやり合っていた。
若が何故志村妙にこだわるのかは
俺には分からないが
2日で嫁に連れてくるとは思わなかった。
意外と肉食系なのかもしれない。
ただ、女同士の結婚など
本当に認めてもらえるのだろうか。
「澪」
噂をすれば、若の声がする。
ああ、行かなくちゃ。
「はっ。」
ストン、と慣れた手付きで天井から降りる。
この流れも、慣れたものだ。
柳生家の御庭番になってもう何年も経つ。
床に着地し顔をあげると、
若と妙様がいた。
妙様は突然の俺の登場に驚いているようだ
「妙ちゃん。この者は澪と言う。
柳生家の隠密長で僕専属の者なんだ。
困ったことがあればなんでも聞くといい。
力になってくれるだろう。」
「あ…宜しくお願いします。」
ぺこりと頭を下げる妙様。
「…よろしく。」
スッと会釈をし、顔をあげると若と
目が合った。
そういえば、と先程侵入者の情報が
入ったことを思い出す。
柳生家の御庭番は常に柳生家の屋敷の
あちらこちらに潜んでいて、
常にインカムで情報のやり取りをしている。
御庭番長である俺はその情報を統括して
若や敏木斎様に伝える役目をしている。
普段は御庭番の名の元、物凄く暇な部隊
なのだが外の者である妙様を迎えた事もあり、
その結婚を認めない者もいるようで
俺達は厳戒態勢を取っている。