第4章 再就職編
「どこが田舎モンでぃ。」
総悟がぼそりと男に聞こえない声で呟く。
「あ?」
俺が聞き返すと、総悟が俺の持っている
履歴書をちょいちょいと指さす。
指さした方を順に追っていくと、
職業履歴があった。
最終職歴は………
……………、『柳生家の御庭番』…………?
それを見た時、ふと頭にこの前の乱闘が蘇る。
『妙様、言ったよな?皆の所に帰りたいって。
その言葉に俺は応えなきゃならない。』
あの時の忍者ヤローか…!
どうりでどこかで見た顔だと…。
「おいとっつぁん、
ちょっとハズレっぽくねぇか?」
いきなりの障子の破壊にビクついた
近藤さんがヒソヒソと耳打ちをする。
「おい近藤さん、コイツは……」
俺が柳生家の者だと言おうとすると、
とっつぁんが遮った。
「んまぁ…忍者らしいんじゃねぇの?」
「「えっ」」
俺と近藤さんが固まる。
「障子を破るのが忍者の行儀かも
しれねぇだろォ?」
どんな行儀だよ!聞いたことねェぞ!!
今までの忍者、普通に開けて
入ってきただろ!!
「さっさと終わらせやしょう。
名前と志望動機で。」
疲れてきたらしい総悟がはぁーーと
重いため息をつきながら言う。
「あー俺は神崎澪って言いますゥー。
志望動機は特にありやせーーん。
俺はーとりあえず金で動くタイプなんでー。」
神崎は鼻をほじりながら死んだ目で答える。
一瞬銀髪が脳裏に浮かぶが、すぐに消した。
「カネかー。いいねぇそういう子ー
おじさん貢いじゃうよォー。」
「えー?貢ぐゥー?ははっ…やめてくださーい
警察呼びますよー」
「残念ながらァーおじさんが
警察なんだよねェー」
「うっへー世も末だァ困ったなぁーははっ」
「だァーいじょうぶだってェ、
おじさん、優しくしてあげるからぁー」
とっつぁん、言っとくが相手は男だぞ!
確かに中性的な顔してるし
髪長いから一瞬女に見えるけど、
男だからな!ついてるモンついてるから!!
神崎も身の危険を感じたのか、苦笑いして
とっつぁんから目をそらす。
「じゃあー次、学歴で。」
「は、はーい…」
総悟の声掛けで、全員学歴の
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