第4章 再就職編
(土方視点)
「とっつぁん。準備できたぜ。」
俺がとっつぁんに声をかけると
とっつぁんは立ち上がった。
「ィよし、行くか。」
俺、近藤さん、とっつぁん、総悟が
屯所の廊下を歩く。
行先は客間だ。
「はぁー…。」
総悟が歩きながら、ため息をつく
その顔には"めんどくさい"と書いてある。
「分かってると思うが、今回は上からの
超超チョーウ極秘だ。
テメェら、ちゃんと品定めしろよォ?」
とっつぁんが縁側を歩きながら呟く。
大分前のバカガエルの事件から、
少しずつ、幕府の裏事情が表に出てきつつある
しかし中には上手く隠蔽して
善人ぶっている奴もいる。
それが誰なのかを調べるのが今回の命だ。
普段は庶民や攘夷志士を相手にする俺達が
やる仕事ではないため、
民間の忍者団体に頼む事になったのだが…
「どーにも気に食わねぇでさァ。
俺達じゃそんな大層な仕事
出来ねぇって事ですかィ?」
総悟がムッとした顔で言う。
総悟の意見は最もだが、民間の忍者を雇う
って言うのも上からの命に含まれている。
逆らうわけにゃあいかない。
「そう言うな、総悟。
上にも何か考えがあるのだろう。
それに、俺達にも追わなければ
ならない奴等もいる。
手間が省けると思えばそれで良いだろう。」
「…………そうだと良いんですがねィ。」
総悟が不機嫌そうにぼやいた。