第4章 再就職編
銀時への報告の数週間後、
紹介所から、良い依頼があると
連絡があり、俺は紹介所に出向いた。
「…で、良い依頼って何でしょうか?」
ハローワークのような個別に
仕切られた机の椅子に座る。
職員らしいおじさんが、反対側に座った。
「これだよ、神崎君。」
ぺらりと1枚渡されたのは、依頼情報の用紙。
依頼人がどこの誰で、何の依頼かが載っている
俺たち忍者にとってはバイト情報の
ようなものだ。
「えーっと…依頼人は………
……って、はぁ?」
依頼人、と書かれた欄には
『真選組』
と書かれていた。
普通は、名前だけ書かれていたり、
〇〇会社代表取締役…とか書いてあったりする
それが会社名だけで、
しかも公の機関だなんてこと、
俺は見たことない。
「真選組が、派遣忍者に依頼?
あそこにも、密偵部隊あるはず…。」
「そうだけど、人が足りないらしい。」
真選組も大変なんだねぇ、なんてぼやく職員。
いや、それにしても意外すぎるな。
「…依頼内容は?」
「それが…極秘らしくてさ。
一応密偵調査依頼らしいんだけど、
どこの誰を調査するかは…。」
「はぁ…ハッキリしないんですね。」
「でも、報酬は弾むよ。
なんてったって、極秘だから。」
にっこり笑うおじさん。
なんだか、笑うセールスマンみたいで
少し不気味だ。
…まぁ、派遣忍者紹介所の職員なんて
こんなものかもしれないけど。
それにしても、この依頼
怪しい………。とてつもなく怪しい。
もしかして、真選組と名乗っている
別の人物からの刺客かもしれないし、
真選組内のスパイ調査依頼とかだったら困る。
報酬がわりと多めなのも謎だ。
公的な機関である真選組が、民間企業…しかも
派遣職員にこんなお金を出すだろうか。
もしかしたら、裏ルートの金かもしれない。
真選組のような庶民より
少し上くらいの地位しかない機関に
そのようや裏金があるとは思えないけど…