第4章 再就職編
「……………というわけで、
破門は無しになった。」
翌日、銀時に報告に来た俺は
床に寝転がり、ソファの下に顔を突っ込んで
そういった。
「あ、………そうなの。
まぁ、良かったんじゃねーの?」
そのソファの上には銀時が寝ながら
ジャンプを読んでいる。
「うん。もし破門になったら
銀時か小太郎んとこで居候かと思ってたけど
なんとかなって良かっ……
ってイタタタタ足痛い」
顔をソファーの下に突っ込んだまま話す。
急に左足に物凄い重量が乗る。
足からギリギリと嫌な音がした。
ちらりと見ると、デカい白い犬が、
俺の足を踏んでいた。
「家はいいけどよぉー就職先どーすんの。
決まってないんでしょ?」
「いやぁそれがさぁー……
「ってアンタらいつまで
やってんだァァア!!」
なんだよシンパシー君。見てわかんないの?
報告に来てるの、俺。」
「いやいやいやシンパシーって何ですか
新八ですよ志村新八!!
柳生家での姿と違いすぎますよ!」
ビシッと人差し指を突き立てられる。
「えー…常に忍でいろっての?
我は忍者ナリ〜とか言っとけばいい系?」
「いや…言葉遣いの話じゃないですけど。」
おそらく新八が気になっているのは、
俺の体制の事だろう。
寝転んだままソファーに顔を突っ込んで
話すなんて普通の人じゃないし。
「おい澪、そろそろ出てこい。
初対面の人にはちゃんとしとけ。」
「ん……?あ、そっか。
そういえば初対面だった。」
銀時にソファーをコンコンと叩かれて
出るのを促される。
そっか。俺は皆のこと調べてたけど
皆は俺とほぼ初対面か。
「銀さん…この人本当に
あの柳生家の御庭番長なんですか…?
この前会ったときは物凄く
辛辣した印象だったんですけど…
『申し訳ありません、輿矩様。
妙様のお付きを任されていたので。』とか
『そうですね、俺の敵ではありません』とか
真顔で暗殺とかしそうな感じだった様な…」
「うーん、俺は暗殺はしない派なんだけどね」
ソファーから頭を出してそう答える。
暗殺頼む人なんて、
きっと何か理由があるはずだ。
人を殺してほしい理由なんて…
俺は、聞きたくない。
もし殺してほしいなら、
自分で斬ればいいと思う。
会わせるくらいなら、してやってもいいし。