第23章 初心編
小太郎が呼び込んだ客を店の中へ連れてきた。
いらっしゃいませ、という明るい声が響き
客が入ってくる。
小太郎がちらりとこちらを見てから、
また外へと繰り出していった。
「…ま……そうかもしんねえな。」
服部が俺の腰から手を外し、
ビールへと手を伸ばす。
「でもよ…お前は侍の方が向いてんじゃねーの?」
「………え。」
「俺を庇って腹斬ろうとしてるお前を見て、
そう思った。」
「………………。」
服部がビールに口を付ける。
ごくり、という喉の音が嫌にうるさく聞こえた。
「ま、俺が口出し出来るのはここまでだ。
別に好きにすりゃあいい。」
「面接は来週の月曜、午後1時からみてぇだぜ。」
そう言い残して、服部は店を出て行った。