第23章 初心編
「あーあ。俺って馬鹿なのかな。」
着流しの襟を正し、屋根の上へと飛び乗る。
相変わらず警備はザルだ。
しかも、面接中の今なら尚更。
「よ、っと。」
するすると縁側に降りると、
面接室の前にいた隊士の顔が明るくなる。
「………あ!」
その隊士ににこりと笑って挨拶をしてから、
俺は昔と同じように、障子を蹴り倒す。
「しっつれェーしまァーーす!」
障子を思い切り踏みながら、
土足のまま入っていく。
既に居た面接を受けていた少年が
俺を見てあまりのことに目を丸くしていた。
「あ、さーせん。
家は天井か軒下からしか入ったことないから…
障子の開け方慣れてなくてェ。」
砂埃が舞う中、そう言うと、
面接官がにやりと笑った。
「おせーよ、澪。」