第23章 初心編
俺が言うと、沖田隊長が眉間にシワを寄せる。
「なんでィ。その、春冬ってのは。」
「忍者業界の…フライデーって感じでしょうか。
スキャンダルやらなんやら、
でっち上げが好きな雑誌の事です。」
「ふぅん……。」
沖田隊長は俺がそう言うとさらに口をとがらせた。
隊長も逃がしたことが気に食わないらしい。
あ、と服部が思いついたように笑う。
「次の見出しはこれだな。
ー残虐!
一族の末裔、派遣会社を倒産に追い込む!
森の中で皆殺しにして証拠を隠滅!ー
とか。どうだ?」
「はっ…最低だけど、有り得るね。」
「だろ?」
「何それ。嘘ばっかりアル。
倒産に追い込んでなんかないし、
証拠隠滅もしてないネ。」
神楽がそう言うと、俺は首を振った。
「でも、森の中で皆殺し、は合ってるわけだし。」
「でも…ほかの部分は違うじゃないですか……。」
「それでもいいんだよ。これで。」
新八が納得いかないように逃げていった草陰を見る。
もうとっくに見えなくなっていた。