第23章 初心編
「澪さん…傷の手当を……。」
そこに、隠密長が救急箱を持って来た。
隠密隊にも特に大きな怪我はないようだ。
皆バラバラになって、真選組や万事屋に
念の為解毒薬を渡しているのが見える。
真選組の応急措置も手伝っているようだ。
「ああ。いい。大した怪我じゃない。
毒も抜いてあるから気にするな。」
「………ですが。」
「それよりさ。」
隠密長の方を向いて笑う。
久しぶりにお前らの動き、見せてもらったけどさ。
「ちょっとたるんでんじゃない?」
「………え。そ、そうでしょうか。」
俺がにこりと笑うと、隠密長の顔が強ばる。
馬鹿か。俺はお前らの動きを見て
あまりの遅さに顔が強ばったけど?
「そんなんじゃ柳生家の隠密隊の名が廃る。
毎日のメニューはちゃんとこなしてんだろうな?」
「いや……あの。最近少し多忙で……。」
「多忙だからって、
若や輿矩様がお怪我をされたらどうする?
今回は標的が俺だったから良かったものの、
いつ何が起こるか分からない。
………そのくらい、分かってるだろ?」
「…………申し訳ございません。」
「謝るってことは、悪いとは思ってるわけか。」
「…………はっ……その、
すみません…澪さん。
中々…職務がこなせず…俺達も手一杯で……。」
隠密長は俺に膝をついて頭を下げた。
ったく……何時まで言い訳してやがる。
どうやら一回シメた方が良さそうだ。
「待機組も含め、全員今日の反省文書いておけ。
……根性叩き直してやる。」
「………は、……はっ!」
俺の言葉に隠密長の顔がパキパキと凍る。
他の隠密隊も背筋が凍ったのか一瞬動きが止まった。
「…………澪、その辺にしておいてやれ。
周りの目もあるだろう。」
「ああ、ごめんね。若。
ちょっと…気になっただけだから。
……もういい、下がってろ。」
「…はっ」