第23章 初心編
俺が俯くと、若が顔を覗き込む。
「みんな……なんでそんな…俺の事……。」
「そんなの、仲間だからに決まっている。」
「……でも、軽蔑するだろ……?
俺は…仇や恨みも沢山買って、人を殺してきた。
それに、俺は家族を皆殺しにした、
最低な男なんだ……。
…きっと昔の俺を見たら、失望すると思う。」
「悪いが…昔の澪の事は、
僕には分からない。
もしかしたら、澪の言う通り、
失望するかもしれない。でも………」
若が俺から目を離し、周りを見る。
「……そんな最低な男のために、
ここまで人が集まるわけないだろう。」
若の言葉に顔を上げる。
皆、一心不乱に、敵をなぎ倒している。
真選組も、万事屋も、柳生家も……みんな。
「………澪。
皆、澪のために集まってくれたんだ。
過去よりも、今の澪を信じてるから。」
「………今の、俺?」
「ああ。過去や家の事で、
周りに何を言われようとも、
澪は澪じゃないか。
周りからなんと言われようとも、
僕は今の澪を信じてる。」
「…………、」
そんなの、狡いよ。若。
俯くと、ぽたぽたと涙がこぼれ落ちる。
頭上から、また東城のため息が聞こえた。
「いつまで座ってるんですか。澪。
まだ敵は残っていますよ。」
溢れた涙を拭う。
そうだ。
俺を信じてるみんなのために…
今の俺が俺であることを貫くために……
戦わなきゃ。
「…うん。」
俺は東城の手を借りて、立ち上がった。
視界は晴れやかで、
頭上から太陽が、俺を照らしていた。
「………ありがとう。みんな。」