第23章 初心編
「…………はぁっ…はぁ…」
「おい、……生きてるか?………ッ」
「ま…………なんとか。……はぁ。」
忍者を1人、また1人と斬り倒しながら
俺は服部の質問に返した。
息も絶え絶えで、呼吸すら苦しい。
やはり、数というのには圧倒的な戦力だ。
1人を相手にするとその他大勢が
フリーになってしまう。
不意打ちを何度か食らって、
すぐさま毒抜きをしたものの、
多少は回ってしまったらしい。
視覚がぼやけ、敵が重複して見える。
「気のせいだと思いたいんだけどよ、
なんか人増えてねぇか?」
「あ、それ俺も言おうと思ってたとこ。」
重複しているんじゃない。
単純に敵が増えているのだ。
賞金がどうとか、幕府の犬だとか
言っているのを見ると、
ただ単に賞金首狙いと、
攘夷志士も混ざっているらしい。
「………ッ、はぁ………やば。頭が重い……。」
自分の頭をガンガンと叩く。
ここで倒れたら思うつぼだ。
最後まで、刀を下ろすな、俺。
でも……このままじゃ…………
「神崎死ねぇええ!」
「仇討ちじゃあああ!!」
考えを巡らせたいのに、
敵は攻撃を休めるつもりはないらしい。
四方八方から声が聞こえて、
それを一つずつ慎重に避けた。
でも、身体は少しずつ疲れ、重くなっていく。
ちらりと隣を見ると、
服部が膝をついている。
斬った人数は
お互い合わせて40人くらい。
もう、疲労困憊だ。
このままじゃ…共倒れになってしまう。
なんとかしなきゃ……俺が…なんとかしないと………
「神崎!!殺してやる!!!」
だが、罵声が飛び交って集中できない。
「………うるせぇ…。」
「親父の仇!神崎死ね!」
どいつもこいつも
神崎、神崎、神崎、神崎……
って、
「うるせえええええ!!!」
目の前の忍者の首をはねて、
持っていたクナイを奪い近くの忍者に投げつける。
クナイは脳天を貫いて忍者が倒れた。
「どいつもこいつも好き勝手言いやがって!!」
「神崎家に一番うんざりしてんのは
俺なんだよ!!!」
「俺だって、神崎なんか…大っ嫌いだ!!!」