第4章 再就職編
僕が目を輝かせる反面、
東城は表情を曇らせた。
「しかし、状況は極めて厳しい。
輿矩様は若の言うことは
大抵聞くでしょうから、
澪が隠密を下ろされたとしても
若が言えば破門は免れることが
できるかと思います。
問題は、澪の方です。
澪は辞表を出した上に、
破門でいいと言っている。
輿矩様が破門を許したとしても、
澪はここを出ていくでしょうね。」
「そんな…。では、どうすればいい?」
澪が自らここを出ていくのならば
今回の会合をもし乗り切っても意味がない。
「澪を説得するしかありませんね。」
「澪を…説得?」
「澪に、若が今さっき話した、
澪に対する気持ちを伝えればいいのです。
若が今、澪をどう思っているのか。
澪にどうして欲しいのか。」
「澪への…気持ち………。」
澪との思い出が蘇る。
初めて会った時のこと、
いじめられて帰ってきて…慰めてくれたこと、
一緒に東城に悪戯を仕掛けたこと、
夜中にこっそり部屋でボードゲームをしたこと
風邪を引いたとき、ずっと傍にいてくれたこと
…………その澪に今、何を伝えたいか。
僕にできることは……………
「決まったようですね。
では、行きましょうか。
会合はもう始まっております。」
目を開いて前を向く。
もう、迷わない。
東城の言葉に頷き、僕は会合に向かった。