第23章 初心編
「が………ハッ、」
目の前には、先程殺気立っていた忍者。
頸動脈を斬った。
もうあと数分でコイツは死ぬだろう。
「………悪いな。ちょっと軸がズレた。」
殺し屋の仕事は、慎重で、素早くて、的確だ。
そして、それを返り討ちにする俺も。
俺の頚椎を狙う一瞬の隙を狙って、
俺は忍者刀を抜いた。
まず腕から斬って刀を落とし、首を斬った。
忍者刀は何年も抜いていなかったのだが、
まだ俺の腕は多少動くらしい。
………とはいえ、
「……昔は頚椎殺って一瞬だったんだけど…。」
俺は日本刀を持ちすぎたらしい。
力が入りすぎて、軸がぶれ、当てる所がズレた。
俺の忍者としての腕は間違いなく落ちていた。
「……あーあー、出血が凄い事に。」
局長室の畳が血に染まっていく。
俺は血が足につかないように忍者から離れる。
倒れた忍者は俺の顔を見て、笑っていた。
「……神崎家………
忍者界の風上にもおけない屑が…。」
「………………。」
忍者は俺をギロりと睨みつけた。
多分、俺に恨みがあるのだろう。
……恨みなんて、買いすぎて…忘れたけど。
「……お前がどんなに存在を消しても……。
お前が陽の当たる世界に居られるわけないんだよ…」
「俺が死んでも、誰かがお前を殺す…。
クククッ……それに怯えて……
苦しんで、死ね。」
「ああ、失敗した。」
「やっぱり、さっき頚椎斬っときゃ良かった。」
俺はもう一度、刀を抜いた。