第23章 初心編
「…………。」
俺は、いけないと思いつつも
封を開けていた。
まだ派遣の満期は来ていないはずだ。
なのに、一体何の通達だろうか。
封を開けると、手紙が一通入っていた。
『真選組 局長 近藤勲様
いつもお世話になっております。
派遣忍者紹介所でございます。
先日から何度もお手紙を
出させていただいておりますが
届いておりますでしょうか。
貴方のため、真選組のため、
再度警告させていただきます。
神崎 澪は危険です。
今すぐに解雇することをお勧めいたします。
彼の過去を知ったものが皆抹殺されていることは
電話でお話したはずです。
貴方は彼は暗殺などしないと仰っていましたが、
彼は暗殺業では有名です。
今は手負いの状態ですが、
完治したらすぐに殺しにくるでしょう。』
「……………」
アイツら…
敏木斎様が俺の過去を話した事を掴んだんだな。
俺が危険だと刷り込んで、
真選組に揺さぶりをかけてるんだ。
『このお手紙は彼の住処である柳生家や万事屋にも
送らせていただいております。
標的はいまや貴方達だけではない。』
柳生家にまで……。
そういえば、若や神楽達にも言ったんだってな、
敏木斎様。
………ほんと、お節介だよ。あの人は……。
『ただし、貴方達ならば
彼の過去とは程遠い存在だと思い、
紹介させて頂きましたが、
危険な忍者を送り込んだ我々の責任もあります。』
『責任をもって、我が紹介所…いや、業界総出で
彼を抹殺致します。』
「……………!」
突然……後ろから、殺気。
「神崎澪…貴様の命、頂戴する。」
見なくたって分かる。
かつて俺もそうだった、同業者の匂いだ。