第23章 初心編
「ーーーーーやめ、て、ください。」
思わず副長の手を叩いた。
パチン、と音がして、副長の手が視界から消える。
それと同時に、アイツの声が俺から遠ざかった。
「で、どこが大丈夫なんだか教えてもらおうか。」
「…………。」
アイツはもういないはずなのに、
額には汗が滲み、動悸が止まらない。
「…監禁されてる間に無理矢理ヤられたのか?」
「……ちが…います。」
「じゃあなんでそんな慌ててやがる。」
「慌てて…ない、…。」
副長が俺の右手を掴む。
後ろに隠していた手はガタガタと震えていた。
「……慌ててない?…こんなに震えてんのに、か?」
「………………ッ。」
右手を俺の目の前に持ってくる副長の手を
無理やり振りほどく。
恐怖が全身に染み渡り、
怖くなって副長を睨みつけた。
「……………。」
副長はそんな様子の俺を見透かすように
落ち着いて俺を見つめていた。