第23章 初心編
あまりに条件が当てはまりすぎて
思わず周りを見渡す。
……今のところ、何処にも殺気は感じない、けど。
「………ああ、大丈夫だよ。
ラッキーポイントは、『初心にかえれ』だって。」
「……ちゅ、抽象的すぎない…?」
俺が苦笑しながらそう言うと、
退が顔を覗き込んだ。
「本当に大丈夫?…医務室行った方が……。」
「ーーーーッ」
肩に触れようとする退から1歩下がる。
これ以上、触られたら……
俺は……吐く。間違いなく。
「全然…っ、全然平気だよ。
なんにも、ないから…………そ、それじゃ!」
心配そうにする退に背を向けて、
その場から逃げ出した。