第23章 初心編
(澪視点)
江戸に帰ってきてから、1ヶ月。
あれから、副長の刀が俺に向くことは無かった。
「………写真が見つかった。
殴られてボロボロのテメェのな。」
副長にそれだけ伝えられ、
俺はなんとか切腹を免れることが出来た。
ただ、疑いが晴れても
心には傷が残っている。
「おはよ、澪。」
「ーーーーッ!?」
急に肩に触れられて、
びくりと体が震えた。
驚いて振り向くと、
退が目をぱちくりさせる。
「ご、ごめん。驚かせちゃって。」
「あ…いや……こっちこそごめん。」
急に体に触れられると、体中に悪寒が走る。
見ているところを触られるのはまだ我慢出来るが、
どうしても視界の外から触れられると
異常に反応してしまう。
「……………。」
退に触れられた肩に触れる。
ゾワゾワと寒気が止まらない。
「ねぇ、大丈夫?顔色悪いけど………あ!」
「な、な………なに?」
「もしかして、澪、
今なんか病気だったりしない?」
「……はぁ?、病気……?」
俺が必死に呼吸を整えながら言うと、
退が顎に手を当てる。
「いや、今日の結野アナの占いでさ。
澪の星座12位だったんだよ。」
「…………そりゃあ、
12個しか星座はないんだから…
たまには最下位の時もあるでしょ…。」
「いや、それには続きがあってさ。」
…ああもう、気分が悪くて吐きそうだ。
顔が青ざめていくのが分かるし、
触れられた手はガタガタと震えていた。
「今朝なにかしらの病気で
吐き気がして顔色が悪くて、
手が震えて死にそうな貴方は
何回か殺されかけるでしょう……って。」
「………はぁ!?」
な、な、な、………それ俺の事?
結野アナって俺の事どっかで透視してんの?
しかも殺されかける…って…………、