第22章 帰宅編
猿飛の目に少し殺意が篭っている。
どうやら、本当に澪の事が嫌いらしい。
「………その証拠は?」
「証拠は……あの男がまだ生きていることよ。」
「…澪、が?」
「あの男は…自分の依頼を遂行するために…
金を手に入れるために、自分の家族まで殺したの。」
「……家族って、そりゃあ…。」
「ええ。神崎家が一晩で連絡が
取れなくなった理由………。
それは、あの男が自分の家族を……
一族を滅ぼしたからよ。」
澪が…金のために……自分の…家族を…?
「それだけじゃない。
あの男は、神崎家という存在を消すために
この世に神崎家の名が残っている書類を
全部燃やしてしまった。」
「もうアイツが神崎家だったと
言う証拠はどこにもない。
……まさにプロよね。だって…一族まるごと、
存在も記録も全部消しちゃったんだもの。」
彼女の口から思わず笑みが零れた。
その笑みは澪を蔑んでいて、
言葉も皮肉なものだった。
「でも、人間の記憶は残る。
あの男は神崎家を知ってる者を
今も殺して回ってる…そう言われているの。」
「神崎澪に会ったら、
殺される前に逃げろ……
…それが忍者界での暗黙のルール。」
「あの男は…危険よ。」
猿飛はギロリと俺を睨む。
俺が信じている澪の
全て否定するように言い放った。