第22章 帰宅編
(土方視点)
「俺達じゃあ無理?…ハッ、馬鹿げてる。」
あの野郎、お高くとまりやがって。
澪を帰らせてから、
俺は煙草を吐いた。
「……。」
澪の首の傷はかなり深いものだった。
あれは、2、3日で出来る傷じゃねェ。
傷は塞がり治りかけてはいるものの、
乱雑に扱われていたのは本当のようだ。
おそらく、両手首の包帯も同じなのだろう。
「…………チッ」
ただ、澪に今までの経緯を聞いた時、
一瞬澪の目に迷いが見えた。
実は捕まってしまい逃げてきました、なんて
一言で言ってしまえば済む話だ。
だが、澪は言わなかった。
それも俺が刀を向けるギリギリまで。
「…………何を隠してやがる…澪……。」
「あれ?………澪、帰っちゃったんですか?」
2本目の煙草に火を付けていると、
山崎が顔を出した。
「…あぁ、さっき帰ったぞ。」
「そうですか。
今日も泊まってくと思ったんですけど…。」
山崎が残念そうに言った。
総悟も近藤さんも、
戻ってきた澪をまた受け入れ始めている。
その前に、何か確証を獲ることができなければ
最悪の事態も有り得る。
「………。」
結局、アイツが攘夷志士と絡んでいなかったという
証拠はないのだ。