第22章 帰宅編
俺の紅い血が包帯と副長の刀を染め上げる中、
何か言い訳出来るものは無いかと
俺は頭をかけめぐらせていた。
「俺は本気だ。澪。
言うなら今しかねェ。」
副長の目に迷いは無かった。
俺が答えられないのを『YES』と
取るつもりなんだろう。
俺が戻ってきたら、
鼻からこうするつもりだった。
そう言わんばかりの殺気だ。
「…………。」
相手は鬼の副長。
それに対して俺は手負いの忍者だ。
ここから逃げるどころか、
目を逸らす事も出来ない。
もう全てを話すしかないのだろうか………?
………いや、
ここで全部白状して
小太郎や晋助の事を洗いざらい喋るくらいなら、
死んだ方がマシだ。
何か………何か答えないと。
今までの思い出が走馬灯のように駆け巡る中、
1つの言葉が頭を過った。
『ブラックマーケットに載せるから、
写真だけ撮らせろ。……ほら、こっち向け。
ニンジャ野郎。』
「……ブ、ブラック…………。」
「あ?」
「天人の闇市に…俺の写真があります。」
「闇市に?」
「…俺が殺られた現場は見たはずです。
俺は、奴等の喧嘩に負けた。」
「……………。」
「そして…奴隷として捕らえられ、売られた。」
副長の刀が俺の首に触れて、包帯が引っかかった。
紅く染まった包帯が、するすると解けていく。
「証拠は……見れば分かるでしょう?」
俺の首には赤黒く首輪の跡が残っていた。