第22章 帰宅編
(澪視点)
「大体、いなくなるのだったら
1度連絡するべきだろう。」
「…………へい。」
「不在着信を入れるくらいなら
留守電を残しておけばいいのにそれもしない。」
「………へい。」
「もしや、不在着信だけで
連絡したことになるとでも思っていたのか?」
「…いや、その。
携帯壊されたから出来なくて…」
「思っていたのかどうかと聞いている!」
「……へい。思いました。すみません。」
若の怒っている、というのは本当の事だったらしい。
泣き止むまで待って、屋敷に戻ってから1時間ほど。
俺は正座で若の説教を受けていた。
そろそろ、足が痺れてきたが、
若が俺を許してくれる様子はない。
「澪はいつもそうだ。
僕には何も伝えずひとりで勝手に決めてきて…。」
「………へい。」
「真選組の時もそうだ。
おじい様だけに言っておいて、
僕には何も言わない。
ある日の朝、突然隊服を着て出て行く。」
「…………へい。」
「どういう事だと聞けば、面接受かっちゃった、
もう決まったことだから、だと?
そんなので納得できると思っているのか。」
「………へい。」
「真選組など、チンピラ集団の集まりだと聞く。
そんな所で刀を差し違えて怪我でもしてみろ。
一体どう言い訳するつもりだ。」
「………へい。」
「もしやまた不在着信1個で
済ませるつもりではなかろうな。」
「…………へい。」
「へいではなく、質問に答えろ!」
「………へ、あー…申し訳ございません。
以後、心に誓って、留守電入れます。必ず。」